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のいちごくっきーの宇宙日記

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書評 「若者論」を疑え!
久しぶりに書評を一つ。

『「若者論」を疑え!』 後藤和智 宝島社

「少年犯罪の増加」「ニートは無気力」などといった若者論を各種統計を使って反証した本。この本の最初で本田由紀氏が述べているように、この手の内容は最近多いし、一見オリジナリティがないが、若者に関する複数の問題をいくつもあげていること、社会学や心理学など複数の学問的知見を組み合わせて論じていること、予備知識がなくても理解できるよう噛み砕いて説明してあること、新書には珍しく最後に出典を掲載し、かつブックガイドも充実させているなどがポイントである。

気になる点としては、最初の本田由紀氏との対談では社会や人間に対する見方がおかしいことである。バッシングで国家による統制が進むことへの危惧は分かるが、"Nothing is perfect."と言い切って個々の社会問題に対する取り組みを甘くしてもよいというのはいかがなものだろうか。例えば教育問題では教師は文部科学省や各自治体と親との板ばさみで苦しいとはいうものの、指導力不足教員は排除しなければきちんとした教育が受けられない子どもはなくならない。こういった問題にもいえるように、バッシングはよくないからなあなあでいいというのは暴論であろう。

他にも、なぜ一度就職した若者が離職するかの説明がやや分かりにくかった。もう少しクリアな説明が欲しいところだ。

さらに、ネット右翼について、池田謙一氏のネット利用に関する研究を引用するのは分かるが、ネットはリベラルな場だと決定するのは早計である。確かにソーシャル・キャピタルの場としての有用性やリベラルなネット利用者の存在は分かるが、ネットの利用者そのものは調査のしようがない。なぜなら、きちんとしたサンプリングが出来ないからである。右翼が多いか左翼が多いかなどは計量的には実証できない。そのことを明確に記すべきだったであろう。

批判は書いたが、私より若い人で社会科学系の専門教育を受けていない人がこれほどの本を書くというのは個人的には衝撃的だった。それに引き換え、後藤氏は学者の引用をしているが、当の学者はどうかというと、多くはアカデミア内部のことしか考えていないのが現状であるし、後藤氏が行う事を超えることができるようになる教育など日本の大学では行われていない。そういう意味で衝撃の本だといえる。後藤氏には評論のための評論を行わず、社会変革の原動力になっていただきたいし、私も彼以上の言論人になりたいと思う。

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