英語学習サイト「英語克服戦記」の姉妹編。 教育だけではなく、食生活、差別、メディア、国際関係といった社会問題一般や作者の生活について述べていきます。

のいちごくっきーの宇宙日記

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NHKスペシャル セーフティネット・クライシス
NHKスペシャル「セーフティネット・クライシス」を見た。

年金や介護、生活保護などのセーフティネットが機能しなくなっている問題を取材したドキュメンタリーだ。小泉改革による福祉の切捨てによって、右半身不随の人が介護が十分に受けられなくなったり、健康保険の費用が払えないためにガンになっても病院に通えない人がでたりするなど、セーフティネットが機能不全に陥っている現状が述べられていた。

中でも、子どもがいる家庭で、両親が離婚し、生活保護も受けられず、母親の収入だけでは生活がままならなくなっているというのはひどい問題だ。子どもは貧困を理由にいじめにあい、不登校になり、アルバイトを強要されたりするという。子どもは生まれによって十分な教育が受けられず、望ましい安定した子ども時代を送れないのだ。

取材を受けた家庭の一つでは、高校を受験したいが、問題集を買う金もないため、親が新聞で紹介されていた試験問題を切り抜いて子どもに与えていた姿がなんとも痛ましい。教材を買う金がない状態でどう学力を高めるかというのは、私のように英語学習法に関する情報を提供する者にとっては大きな課題と言える。教材は道具であり、よい教材は便利な道具なので、それを使うか使わないかで有利不利があるのは当たり前だからである。しかし私としては、出来るだけ金をかけずに子どもの学力を伸ばす方法を何とか考え付きたいと思う。

釧路市では貧困層の子どもを含め、子どもの教育を支援するNPOがあるという。不登校の子どものためのフリースクールは(数は少ないものの)全国にあるが、知育を何とかしようとするNPOは全国にもほとんどないだろう。塾などのサービスが得られない子どものために、今後、教育に関する支援を強化していくべきだ。具体的には、道路特定財源なんか維持している余裕があったら、税金を少しでも小中高やNPOに対する予算としてまわすことと、中等教育を全て中高一貫校に再編し、現在の高校を義務教育化することだ。いじめや管理教育の問題もあるが、全ての子どもがきちんとした教育を受けることは当然で、全員が高校まで行くのを法的に制度化するべきではないだろうか。中高一貫もあわせて行い、うまくカリキュラムを整理すれば、中等教育だけでもかなり国民の学力も改善されるだろう。

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| 社会問題 | 23:14 | トラックバック:0コメント:0
書評 ルポ貧困大国アメリカ
本日の書評第2弾。

『ルポ貧困大国アメリカ』 堤 未果 岩波書店

アメリカの貧富の格差は軍需産業と強く結びついていると言う話。私の周りで評判だったので読んでみたが、内容はNHKスペシャルなどで言われていたことで真新しいことはほとんどない。強いていえば、大学に行きたい貧困層に対して、援助を名目に軍にリクルーティングすることについて、軍に行っても実は学費は得られないということだったのは、日本のメディアでは伝えられていなかったことだ。アメリカ政府の狡猾さが分かる。ただ、この手の議論の入門書としては悪くはなかろう。

ただ、後半なぜか日本国憲法の話に摩り替わっており、従来の左翼が喜びそうな内容なだけでなんら生産的な議論が出来ていないと感じた。本気で貧困問題や紛争を解決したいと考えるならば、従来の右翼左翼の枠組みに拘泥せずにアメリカ政府の自国民や他国の利用に関する分析や批判のみをしていればよいのだ。これでは貧困や紛争による犠牲をなくそうといっても右翼は自分が日米両政府に利用され搾取される対象だということを考えずに、貧困反対・戦争反対は全て左翼の言説だと一蹴されかねない。筆者の戦略的な浅はかさは大きな減点対象といえるだろう。

軍需産業は世界の平和や貧困問題の解決の最大の妨げの一つと言えよう。これを縮小させるにはどのようなことが必要か、さらなる分析と議論は今後不可欠といえよう。

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書評 「若者論」を疑え!
久しぶりに書評を一つ。

『「若者論」を疑え!』 後藤和智 宝島社

「少年犯罪の増加」「ニートは無気力」などといった若者論を各種統計を使って反証した本。この本の最初で本田由紀氏が述べているように、この手の内容は最近多いし、一見オリジナリティがないが、若者に関する複数の問題をいくつもあげていること、社会学や心理学など複数の学問的知見を組み合わせて論じていること、予備知識がなくても理解できるよう噛み砕いて説明してあること、新書には珍しく最後に出典を掲載し、かつブックガイドも充実させているなどがポイントである。

気になる点としては、最初の本田由紀氏との対談では社会や人間に対する見方がおかしいことである。バッシングで国家による統制が進むことへの危惧は分かるが、"Nothing is perfect."と言い切って個々の社会問題に対する取り組みを甘くしてもよいというのはいかがなものだろうか。例えば教育問題では教師は文部科学省や各自治体と親との板ばさみで苦しいとはいうものの、指導力不足教員は排除しなければきちんとした教育が受けられない子どもはなくならない。こういった問題にもいえるように、バッシングはよくないからなあなあでいいというのは暴論であろう。

他にも、なぜ一度就職した若者が離職するかの説明がやや分かりにくかった。もう少しクリアな説明が欲しいところだ。

さらに、ネット右翼について、池田謙一氏のネット利用に関する研究を引用するのは分かるが、ネットはリベラルな場だと決定するのは早計である。確かにソーシャル・キャピタルの場としての有用性やリベラルなネット利用者の存在は分かるが、ネットの利用者そのものは調査のしようがない。なぜなら、きちんとしたサンプリングが出来ないからである。右翼が多いか左翼が多いかなどは計量的には実証できない。そのことを明確に記すべきだったであろう。

批判は書いたが、私より若い人で社会科学系の専門教育を受けていない人がこれほどの本を書くというのは個人的には衝撃的だった。それに引き換え、後藤氏は学者の引用をしているが、当の学者はどうかというと、多くはアカデミア内部のことしか考えていないのが現状であるし、後藤氏が行う事を超えることができるようになる教育など日本の大学では行われていない。そういう意味で衝撃の本だといえる。後藤氏には評論のための評論を行わず、社会変革の原動力になっていただきたいし、私も彼以上の言論人になりたいと思う。

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