英語学習サイト「英語克服戦記」の姉妹編。 教育だけではなく、食生活、差別、メディア、国際関係といった社会問題一般や作者の生活について述べていきます。

のいちごくっきーの宇宙日記

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夜スペシャル
本記事は2月3日に一部修正されています。

杉並区立和田中学校が、成績優秀者のみを対象に夜間に塾講師を招いて特別授業を行うという「夜スペ」が賛否両論となっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080126-00000961-san-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080126-00000960-san-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080126-00000959-san-soci

結論から言うと私は夜スペ反対だが、実はこの問題は複数の問題が複雑に絡み合っているため、論評は難しいのだが、最低限の整理をして私見を述べたい。賛成派反対派両方の議論に問題があるので一つ一つ見ていこう。

メディアで取り上げられている主な論点は以下のように分けられるだろう。

1.公教育に塾が介入してもよいのか
2.成績優秀者のみを対象とするのは好ましいことか
3.安くても有料ならば経済格差によって教育の機会均等が失われないか

その他に公務員の労働のあり方が反対論者からあげられるが、あまりメディアではとりあげられない。この問題では仕事を教員以外が負担する調整が可能なため、本質的な問題としてはそれほど深刻ではないだろう。

1は仮に通常授業で介入すれば公教育への介入だろうが、通常授業への参加ではないため、公教育を本当に悪化させるのかは疑問だ。昼と夜の授業が連携されているならば、夜スペに参加していない子どもには迷惑千万となるから避けるべきだが、学習指導要領に沿っているならば学校間での教育に大きな差があるとはいえない(そのために学習指導要領を改善しなければならないという別の問題はあるが)。

あと、公教育というが、教育とはそもそも公的であるべきで私的利益のみを追求する教育というものはそもそもありえない。公的に有害な「私教育」なるものは淘汰されなければならない。仮に現状の学習塾が公教育と相反するものという認識があるなら、「夜スペ」にとどまらず塾自体のあり方を議論してもよいはずなのに、それがなく、「私教育」が公教育とは違うけれどもあってよいかのような考えがあるともとれる。その点で、夜スペ賛成派反対派ともに教育とはどうあるべきかのビジョンがあいまいとなっている。

2について、これはやはり教育の機会均等の観点で問題があろう。もちろん、教育は個々人の能力に応じたものでなければならないため、習熟度に応じたクラス編成は行う必要がある。しかし、それは自動車教習所的に「Aさんはレベル1を終わらせているからレベル2の勉強をしよう。Bさんはまだだからレベル1の勉強をしよう」というのとはシステムが異なる。夜スペの対象者ではない子どもはずっと高度な勉強が出来ないままでいるという可能性があるのだ。ここに偏差値偏重教育の弊害がある。相対評価では到達度は測定できないし、それに基づいた教育では個々人に必要な教育が見えてこない。今うまくいっている子どもには受験のテクニックを教え、それ以外は放置ではなく、(学年の区別をやめて、一クラスの人数が多くなってもいいから)全員に自分のレベルに会った教育を提供し、その後は上のレベルを学習させるというシステムに改めるべきである。

3について、これも教育の機会均等の観点で問題はある。一般の塾に通える子どもとそうでない子どもの格差はどうか、都市部と地方ではこういうことが出来る出来ないで差があるだろうというのは賛成派反対派両方が主張する。どれも平行して取り組むべき問題ではある。夜スペにかかるコストを無料の補習の強化にまわせるならば、そうした方が問題点は最小限に抑えられると思う。

ここでメディアに取り上げられない問題を一つ指摘すると、「すべての親は子どもの学力向上を願っている」ということは迷信であるということだ。経済格差だけではなく文化的な格差(社会学でいう文化資本の差)、そしてゆとり教育的な思想の弊害によって「別に勉強がすべてではない」などといい、子どもが将来ハンデを背負ってもよいという無責任な親は多少なりともいるということを理解しなければならない。だからこそ学校教育の強化が必要なわけで、教育を受けられる子どもとそうではない子どもの差を最小限にするシステムを社会全体で作る必要がある。

結論として、和田中学校が取るべき最良の選択肢は補習の強化であり、夜スペはそれ自体が有害ではないにせよ優先順位を間違えているといえる。現行の補習が完全に成功しているならばクラスの中で出来る子と出来ない子の成績の差など出ないだろう。(2月3日朝日新聞での藤原和博校長のコメントによると選抜テストでの不合格者はいないとのことだが)実際に生徒間で差が出て(事実上の)「選抜ができている」ならば、出来ない子に対する教育は成功していないということだ。出来る子は出来る子で通常の補習が必要ないほど出来るなら上の学年の補習に出席させるなどすればよく、和田中関係者は習熟度別学習の望ましいあり方を理解していない。これで全国の教育関係者に混乱をもたらすことは必至であり、得するのは介入した塾だけになってしまう。和田中は早急に路線の変更をする必要があるといえよう。

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